2018/5


新しい歌埋まらなくて書き捨てられるどうでもよく

どうでもよいから尚の事焦りを感じ

尚の更また意味のない音楽が奏でられる

新しい歌すぐに飽きてしまう

新しい歌退屈な歌

何の意味もない稚拙な音が響いては消える

いつの日にか忘れてしまう

次の日にも忘れてしまう

次のページに書き込めば嫌になって消してしまう

新しい歌退屈な歌


昼間の往来は行き来する人波が足早に

足早に過ぎていく人間の人たち、子供たち

排水溝には誰も目に入れない様々な事情、物事、退屈な

退屈な軍手が捨てられ、踏みつけられ、汚れ

汚れた軍手はどこへ行く

明日か、明後日か、明々後日か

私は考えていた、明日の事を

退屈なあの仕事の事を

見習い美容師が手渡すゴシック体

老いも若きも、駅からあふれる、退屈さ

誰も叫ばず 喉を息が微か通るのみに

その一点だけについては他の追随を許さない東京

カラスは鳴く

賢でも愚かでもなく、そうすべきであるから鳴く

空を裂く強い前脚に何の恐れもあったもんじゃない

人波が慄く時に、流れが僅かに変わってく

軍手も、軍手と、軍手を

カラスがついばんで引き裂いた

新しい寝床にするために


生き物の死人間の死尊い死は誰が決めるか人間風情

暦の通りに事が進めど安泰は保証されない商いで

価値を決めるのはどの人間か

価値を決めるのは一人一人の自覚なき

自覚なき悪意が

お前を苛む時には

臥所のカーテンを開けよ

無神論者は祈りを捧げる

無神論者は祈りを捧げつ

自覚なき悪意に苛まれていた

灯らずて、そして、晩期の最中を

歩いて行ける、価値なき脚で