生命の終わりと各時代の作品傾向についての年表

 2150年

再びの氷河期が訪れ地球に人類が住めなくなる

 

  •  火星 物好き、滅亡論者、大金を持て余した富豪などは火星に移住しており事なきを得た。しかし人間が住む環境として火星はまだ最適化されておらず、地球からの物資があって生活出来るようなものだった。不足する資材の中で製本作業など出来るはずもなく、それどころか不足する紙を前に本好き達は涙を流しながら断裁したという。
  • コロニー 人類絶滅を危ぶんだ人々は、各国少人数を乗せて地球を旅立った。当時は大きなコロニーを開発する事も出来ず、家族や友人を地球に残したまま一人 次なる星を探す度に出る者も多かった。慣れない環境での生活に加え愛する者を失い、そのためか自殺者が絶えず、大衆の拠り所は娯楽作品だった。少しでも人々の支えとなるよう、この時代は明るく一切の暗さを見せない作品が多かった。

2170年

依然として宇宙の度は続く。火星移住者も相次ぐ自殺で搭乗員が減ったコロニーへと搭乗。

地球では存在しなかった未知の病気にかかるなど、旅は困難を極めていた。未来に希望を抱けるような状況でもなく、陰鬱な作品が増えてくる。

 

2220年

働ける人間は年々減少、コロニーの労働者はロボットが中心となった。病院は常に人間で満杯、脳を機械へと移植する技術もこの時から発達しはじめる。

余命幾ばくかという患者を機械へ移し、工場労働へと向かわせる。もはやそれが本人なのか別の何かなのか、という問いが出来る程余裕のある時代ではなかった。

健康な人々も病を恐れ、自ら実験に身を差し出す事さえよくある事だった。今やSF作品はファンタジーでなくリアルとなり、市場は大昔の学園ラブコメで溢れかえる!

 

2300年

生身の人間は数千人程に減ってしまった。しかし医療技術もやっとの事で新しい病気に対応が出来るようになり、コロニーは歓喜に包まれる。

しかしこれによって、人間と機械の溝が深まる結果となった。人間達は人間達だけでコロニーを形成し、機械は火星を人が住める環境にするために労働させられる事に。

機械が芸術を扱えるはずがないと、闇に葬られた作品も多い。当時は機械に対する差別も非常に多かった。

この時代の作家で後世に名を残す者も居るが、人格面に於いて評価される事は少ない。

 

2600年

火星が人の住める環境へと変わり、機械達は次なる人間の移住先、または資源の確保をするためにコロニーへと乗り込む。

この旅は何百年と続くも、機械達にとっては人間の居ない世界の方が快適であった。独自の文化形成も多く、作れた作品も独特なものが多い。

全体的に人間に対する嫌悪感を表した作品も多く、内容が良くても後世ではセンシティブなものとして扱われている。

  • 火星 地球が存在した時のような環境を取り戻しつつある。地球を覆う氷が溶ければ、もう一度地球に帰る事さえ可能になるかもしれない。それには気が遠くなる程長い時間をかける事になるが、途方もなく宇宙をさまようよりは現実的であった。もしくは寒さに耐えられるスーツの開発などの様々な案が上がったが、人間達が最も恐れたのは新たな生命の誕生、それに伴う食物連鎖の頂点に人間が立てなくなる事であった。とはいえ大半の人間はそれを面白がっており、作品にも昔であったらUMAやそれに値する怪物をイメージしたホラー作品が目立つ。相変わらず労働は機械が行っており、氷で覆われた地球の調査も機械が行う事に。のちにAI技術が発展するまでは労働力の不足が問題となっており、多額の金と引き換えに家族に見放され機械化手術を受けるはめになったりするのは、物語の中だけか、それとも現実か。

2800年

調査中の機械達が反乱を起こし、地球は機械が住む惑星となった。現状人間は地球に住む事も出来ないため、向こうに手出しする事が出来ない。

火星では機械が地球へと逃げ出さないように厳重な警備体制に敷かれ、以前よりも厳しい環境で労働している。

人間からもそれらの扱いに人道に反するのではないか、という声が上がるが、世間の風潮に反した意見は白い目で見られ、火星での居場所を無くしてしまうため、すぐに失速。

火星では地球へと向かった機械に対し、憎しみを募らせる機械も多い。

クローン技術の発達と、機械から人間へと人格移植も可能になったため、どうにか金を貯めて人間になる機械も多かった。

慢性的な人工不足も解消されはじめる。同性間で子孫を残す事も可能になったが、長きに渡る文明の退行によって固定観念が強まっており、おおっぴらには歓迎されなかった。

人間達の中に存在した格差、偏見が明確に掲示されてしまい、却って同性愛者にとっては生き辛い時代となった。

環境も落ち着き、こういった作品が多い、という傾向はない。この時代特有の表現となると、機械への差別表現だろう。

 

3000年

タイムマシンが設計される。事の始まりは人間と機械の仲をどうにかして取り持てないだろうか? と考えた一人の科学者が作り出したもので、この現在を変えるためのものだった。

しかし計画を政府に悟られ、設計は盗まれて軍事利用された。国の派閥争いなどが起こりはじめ、一時期は機械を絶対的な悪とする事で表面上の結束を保っていたものの、

冷戦状態の今、目下の敵は火星に住む人類だった。互いにタイムマシンを利用して干渉し合い世界は混迷を極める。

この時代は作品が少ないが、不思議な事でもないだろう!

 

3100年

安易なタイムマシンの使用を防ぐため、新たに特殊組織が結成される。

軍事利用は禁止とされ、崇高なる理念も無意味な争いも単なる金持ちのおもちゃへと変わってしまった。

それもあってか人々はタイムマシンへの憧れ、AI技術の発展からか、SF的な、つまり現実的な作品が多かった。

同時にタイムマシンを利用した犯罪が起こるのではないか、という危惧の声も多い。

全体的に人間に従順な傾向のあるAIと、反社会的とも思える言動をする事さえある機械。両者は互いを別物だと認識するが、人間に違いは分からない。

良い機械と悪い機械が居るというだけの事である。

時空を超えた通信が可能になったりと、科学技術の発展が著しい。

 

3400年

機械達の乗ったコロニーが次の人類移住になる惑星を見つける。しかしそれは地球に、人類によく似た生命体が営む惑星であった。

機械達は火星にこの事は伝えず、彼・彼女らの文明を守ろうと足早に立ち去るのだった。

その時、わずかに異文化交流が行われ、双方の文明、作品に影響を与えた。

 

3700年

文明の向上、科学の発展、社会環境が軌道に乗った事により多様な生き方が認められるようになってくる。

長く機械が人間に労働を強いられていたが、道徳的正しさを貫くために今まで全ての労働を違法とし、人間も再び働くようになった。

この時代から、昔で言う純粋な人間というのは減った。身体の一部を機械化したり、違う生命体の皮膚を移植する者も居た。

地球に住む機械とも和解交渉が進んでいるが、地球に住む機械は先鋭化しており、難航している。

火星に住む機械への偏見は薄まってきているが、それでも当人達にとって、未だ住みやすいとは言い難い。

あまりにも長く対立してきたため、人間、機械、両者共に関わる事を反対する者も多い。

それでも過去を知らない若者達は偏見を持たずにコミュニケーションを図るが、その結果の不幸な事件も目立った。

作品の中に機械が登場するかどうかが面白い作品の基準とされる事も。

 

4100年

惑星を探し長い旅を続けていた機械達のコロニーが一時帰宅し、平和な世を楽しんだ。

しかし長旅をしていた機械達には、人間への憎しみを捨てきれない者も多く、秘密裏に地球へと降りたり、反旗を翻そうと目論む者も多かった。

だが目立った争いはなく、最も娯楽作品が発展した時代でもある。作品の傾向も多義に渡る。長く安泰の時代となった。

機械達は再び終わりのない旅へと向かう。旅立ちの祝いは盛大に行われ、三日三晩と人々は踊り明かした。

機械に対する強制労働は禁止とされたが、未知の惑星の探索は生身の身体にいかなる影響を生むか分からないため、人間の搭乗は不可となった。

一部の人間から惑星探索コロニーを英雄的に美化しすぎである、という意見も上がったが、そういった意見は保守的と白眼視された。

 

5000年

ついに地球から機械が攻めてくるようになった。安泰の時代が終わり、戦争が始まる。

途端に3000年のような暗黒時代に突入する。裕福な人間は過去へと逃げ出し、貧乏人は安月給で死ぬまで戦う。

戦場へと向かう人間兵士は自ら進んで機械化手術を受けた。それが痛みと死に対する恐怖を和らげる唯一の方法である。

もはや一体何のために戦うのか、その問いに答えられる者は居ない。

機械だけでなく人間同士の争いも絶えず、反戦を謳った作品が多かったが、士気を下げるものとして禁書された。

 

5100年

相次ぐ戦争により人類は再び滅亡の危機に瀕している。機械と人間、人間と人間、それらの意地がぶつかり合い、世界は核の海に変わった。

技術力も全てを失い、今やただ終わりを待つだけである。

 

5200年

未だにコロニーは次なる星を目指して旅を続けている。それは単なる船ではなく、もはや一つの国と言って良かった。