2018/12

人間未満と、なり

社会未満と、なり

砕かれた骨の一部に、なり

内部の赤さに、なり

大気を伝う電気に、なり

今もこの世界を駆け巡っている

ありきたりな倦怠に、なり

書き換えられた歴史に、なり

正義うそぶく象徴になる


知らぬ世界の知らぬ子供達

暖かい家とパン

結露した窓ガラスの向こう

見なくても良い向こう側で

私は今も 死を啜って

吐いた言葉全てに価値はなく

性根で泣けない現実に立つ

陳列された嘘に手を伸ばし

好きな自由を選び取って

着飾って 偽りなき自分

選定される良い子悪い子

自ら首輪を嵌めるのが良い子

とうの昔に埋め立てられた

死肉が 今を憂いている

夢が ない わけではない

削いだ心象も集めてみれば

一つ二つは家にもなる

祈らない世界へと

戦わない世界へと

だがあと幾つ死を積むのか 分からない


雑踏は今 壊死して人々

壊れ物の 感情に 稀代な理屈

言葉巧みな詐欺師が 今も

冗談をまわして 手を首にまわして

真実の鏡は割れた が 鏡うろこで十分に語る

己の姿知る事さえも 恐れる虚しき演者

もしもお前に自由があるとしたら

殺す自由か、犯す自由か

殺される自由か、犯される自由か

どれを選び取っても舞台の上

朝のニュースが白々しく

読み上げるのは枠組みの名前

であれば、お前が選ぶのは


東京某日

人が死ぬ

理屈付けられる思惑

最終的には

人が死ぬ

痛みなどは感じぬ無痛覚

冷たく 射抜いた 正しさだけが

持て囃される至上の楽園

今に始まるは 排除の道楽

最後に残るのは自由だけ

人を殺める自由だけ