2019/2


切り抜かれている

他者

のみによって

強調された悪を見る

誰の名を語り死んでいく

そんなものは一体どこに

悪を知らずに善を語る

とすれば

指と爪の間に血が滴る

守りたかったのは人か名誉か

尊厳のない尊重のみが

鎖と変わらぬ質量で存在

押し付けられるのは単なる足枷

欺瞞冴え渡る詐術の道化

お前の夢では皆平等

しかし不均衡を前に現実は

正しさが破かれる 理想が砕かれる

そこから目を反らせば

地続きの世界はあるがままに

蝕んでいくのは弱い者から

壊されるのも弱い者から

根を張った悪徳の芽が今も私を

罪とは何かを問いてくる


語るに落ちるはお前の象徴

造形されたイノセント嘯く

無垢なるモノはお前の妄想

存在のない虚像の感情

生きた心地のない点と線

感じない故に思わない

楽しげな表情で人を殺す

賢しら演じる機械未満の

感情 拒絶に道理なし

とんだ屁理屈 真理などはない

正しい事など言葉遊び

誰が語れど役立たず

定義 更新 書き換えても

現実腐れば価値はなし

繰り返しの中でいつ目覚めようと

開けば苦痛 閉じれば単なる無へと

眠り続けて百年千年

構造の中で生きる偶像へ

最後の言葉も空白に落ちる


もう描けなかった 日とその間の

見つからない象徴された美しさの枷

理念を前に無力なままに

事実壊されるのは思想じゃなく

生身の生き物その命

であればどうなる

代わり映えのない事ばかりの

真実 時々見えなくなる

淹れた紅茶の味がしない

お前と私の隔たりが死

理想の姿は今だ遠く

混ぜこぜになっても定義は変わらず

私 その言葉の意味は無為

私 というものをまるであるかの様に

私 誰も認めたくはないだろう

自分が侮られているその事実を